調性の性格論
18世紀は音楽の調性の性格論について様々な考察がなされていた時代です。
マッテゾンの性格論に影響をうけた作曲家も多いですが、今回は、ベートーヴェンが特に影響を受けたといわれている、C.D.シューバルトの性格論を紹介致します。

C.D Schubart 音楽美学の概念 Idenn zu einer Aesthetik der Tonkunst 1806 Wien.

C-Dur ハ長調ー全く純粋。その性格は無邪気、単純、素朴、小児語

a-moll イ短調ー敬虔な女性らしさ、性格の柔和さ。

F-Dur ヘ長調ー満足、安心。

d-moll ニ短調ー気分の沈んだ女性らしさ、奇妙であることや曖昧さを含む。

B-Dur 変ロ長調ー明るい愛、とびきりの良心、希望、よりよい世界への憧れ。

g-moll ト短調ー不満、不愉快、恨みと言い訳。

Es-Dur 変ホ長調ー愛の調子、敬虔さの調子、紙との親密なおしゃべりの調子、3つの♭によって三位一体を表現している。

c-moll ハ短調ー愛の表明、同時に報われない愛の嘆き・・・それぞれの喘ぎ、憧れ、愛に飢えた魂のため息がこの調にある。

As-Dur 変イ長調ー墓場の調。死、腐敗、審判、その周囲に横たわる永遠。

f-moll ヘ短調ー深い憂鬱、葬式の嘆き、悲痛な呻き声、墓を求める憧れ。

Des-Dur 変ニ長調ー横目を使う調。悲しみと喜びが交替し、笑うこともできない微笑み、号泣もできないが少なくとも顔をしかめて泣く・・・・だから珍しい性格と感情だけをこの調で表す。

b-moll 変ロ短調ー変わり者。たいていは夜の衣を着ている。幾分不機嫌で、きわめてまれに満足した表情をする。神と世界に対する嘲笑。自分自身とすべてに対して不満。自殺の準備・・・この調に響いている。

Ges-Dur 変ト長調ー困難な勝利、やっと登った頂上での自由な吐息、激しく闘った末にようやく勝つことができた魂の余韻、これらがこの調に適している。

es-moll 変ホ短調ーあらゆるもっとも深い魂の衝動の不安の感性。思い悩んだ絶望、もっとも暗い憂鬱。もっとも暗い魂の状態、あらゆる不安、おののく心の恐れが恐ろしい変ホ短調から息をしている。もし、亡霊がしゃべるとしたら、おそらくこの調による。

H-Dur ロ長調ー強く色づけされている。荒々しい情熱を告げる。もっともどぎつい色からできている。怒り、憤激、妬み、狂乱、絶望、心の憎しみはこの領域にある。

gis-moll 嬰ト短調ー気むずかし屋。窒息するほど押しつぶされた胸。ダブルシャープ(旋律短音階で導音を形成する重嬰ヘ音)でため息をつく悲嘆な嘆き、困難な戦い。一言でいえば踏み切ることが困難なことはすべてこの調の色。

E-Dur ホ長調ーおおきな歓声。喜びの笑い、しかしまだ十分には満足していないことがホ長調にはある。

cis-moll 嬰ハ短調ー後悔の嘆き、神とのくつろいだ対話、友人と、人生の伴侶との話し合い、満たされない友情と愛の嘆きがこの範囲。

A-Dur イ長調ー無邪気な愛の表明。その状態への満足、愛する人への別れに際しての再会への希望。若者の陽気さ、神への信頼。

fis-mollヘ短調ー比較的暗い調。入り口の脇にい[服の裾を引っ張る]噛み癖のある犬のように、情熱をぐいぐい引く。恨みと不満がその言葉。この調(の性格)は正規にはその音域では十分には言えない。したがって、つねにイ長調への安らぎを恋い焦がれている。または、ニ長調の勝ち誇った至福をこがれる。

D-Dur 二長調ー勝利とハレルヤ。戦いの叫び、勝利の歓喜の調。したがって、交響曲の導入部、行進曲、祝日の歌、天まで届く歓喜の歌がこの調。

h-moll ロ短調ーいわば、満足。その運命の静かなる期待、神の摂理への服従の調である。したがって、その嘆きは穏やかで、いかなる器楽にもかなり難しい。したがってそれ自身で明確に置かれている曲はめったにない。

G-Dur ト長調ーあらゆる田舎風、田園風、牧歌風なもの、安らかな満足した情熱、元気づける友情と真実の愛に対する優雅な感謝。一言で言えば、あれゆる優しく穏やかな心の動きがこの調で的確に表現される。

e-moll ホ短調ー素朴、女性的な無邪気な愛の表明、不平のない嘆き、わずかに涙を流すため息、もっと純粋なハ長調で解消される至福の希望に近いことがこの調で語られる。なぜなら、本来ひとつの色(♯ひとつ)しか持たないので、それを白い服をきて、胸にバラ色のリボンを付けた少女と比較することができる。


出典:Sprache und Musik 声楽曲の作曲原理 W.Duerr 村田千尋訳
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by dirigent-yuichi | 2014-11-26 23:05 | 音楽
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