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二つの言語の響き
昨日は、長月シンフォニエッタさんとの本番でした。

プログラムは、
カントゥルーブ作曲 オーベルニュの歌より
シューベルト作曲 交響曲3番 
という短めのものでした。

オーベルニュの歌は、カントゥルーブの代表作、
フランスの中央部から南部へと広がるオーベルニュ地方の
民謡の旋律に管弦楽伴奏をつけた第5集の組曲です

このオーベルニュ地方の民謡は、オック語で歌われるものです。
オック語はゲール語の子孫なのでもともと硬い響きをもっていたようですが、
フランス語の影響をうけ、角が取れ、まろやかな響きになったそうです。

今回取り上げられたものは、第2集、第3集よりの抜粋でした。
第4集までは1920年代に出版されております。
20世紀初頭のフランスの印象的な響きの上に、巧みに乗せられた
オック語の響きがとても心地よく、どれもオーベルニュ地方の
湧き水を飲むかのように体に自然としみこんでいく曲ばかりです。

また、フランスの印象的な響きは、フランス語の言葉、語り口を
そのまま音楽にしているような表現が随所にあります。
フランス語、そしてオック語、この二つの言語の響きが
絡み合うかのように編みこまれ、絶妙な音楽の響きとなっております。

オック語は大きくわけて、北部、南部と発音に違いがあるのですが、
ソリストの鈴木先生と相談させていただき、今回は北部の発音で
演奏させていただきました。
今回ご一緒させていただいたソプラノの鈴木江美先生。
本当に素晴らしく、この曲を歌っていただくなら、この方しかいない! 
と思わせる透明感のある響きと深い表情の歌声でした。
Braaaaaaava!

そして、休憩を挟んで、シューベルトの交響曲第3番。
シューベルトが18歳の時、第2番を書いた直後に短期間で書いた作品です。
ニ長調という祝祭調になぞらえたような、軽快で明るい曲。
その時代の生活に根ざしたお祭り、人々の生活のなかにある楽しみなど、身近な素材がドイツ語特有のリズムの乗せられてたくさん散りばめられております。

地域の生活に根ざした民謡から取られた「オーベルニュの歌」
人々の生活のなかの素材をつかった「シューベルトの交響曲」
同様の素材をつかった2つの作品。
100年近い時間、地域、文化、そして言語の違う
これらの作品を、オーケストラの皆様に熱心に取り組んでいただき、
充実した響きを感じられた本番でした。

ご来場いただいた皆様、一緒に素敵なコンサートを作っていただきありがとうございました。
そして、鈴木江美先生、長月シンフォニエッタの皆様、支えていただいたスタッフの皆様、本当にありがとうございました。

本番前に鈴木先生とパチリ。

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長月シンフォニエッタ第4回演奏会

2015年9月20日(日)13:30開演
浜離宮朝日ホール
カントゥルーブ:「オーベルニュの歌 第2集、第3集」より
シューベルト:交響曲第3番 D-dur
管弦楽:長月シンフォニエッタ
ソプラノ:鈴木江美
指揮:福井雄一
by dirigent-yuichi | 2015-09-21 11:10 | 音楽
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