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復活祭

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今年はグレゴリオ暦とユリウス暦のイースターが同日ということ。次に西方教会、東方教会、どちらも同日にこの日を迎えられるのは2025年ということです。

Osternspziergang von Goethe
ファウストより「復活祭の散歩」 ゲーテ

春の恵ある、物呼び醒ます目に見られて、
大河にも細流にも、もう氷はなくなった。
谷間には希望の幸福が緑色に燃えている。
冬は老いて衰え、荒々しい山奥へ引っ込む。
そして逃げながら、そこから粒立った氷の一しぶきを、青み掛かる野へ、段だらに痕の附くように蒔まいている。
しかし日は、白い物が残っているのを許さないで、何物にも色彩を施そうとする。
そこにもここにも製作と努力とがかいま見える。
それでもこの界隈にはまだ花が咲いていない。
その代りに、日は晴衣を着た人を照し出している。
まあ、跡へ戻っておいで。この高みから
町の方を振り返って見ようじゃないか!
空洞うつろで暗い里の門から、
色々な書物を持った人の群れが出て来る。
今日は誰もかれも、日向ぼっこがしたいのだ。
あれは皆、主の復活の日を祝っている。
自分達も復活して、
低い家の鬱陶しい間から出たり、
手職や商売の平生の群を離れたり、
頭の上を押さえている屋根や搏風の下を遁れたり、
肩の摩れ合うような狭い巷こうじや
礼拝堂の尊い闇から出たりして、
外の明あかりを浴びているのだから、無理は無い。
あれを見給え。大勢が活溌に田畑の上へ散らばって行く。
川には後先になったり並んだりして、
面白げに騒ぐ人を載せた舟が通っている。
あの一番跡の舟なんぞは、
沈みそうな程、人を沢山に乗せて出て行くところだ。
あの山の半腹の遠い岨道、側道にさえ
色々な衣裳の彩色が光って見える。
もう村の方からどよめきが聞こえて来る。
大勢の者にとってはここが真の天国なのだね。
「ここでは己も人間だ!。人間らしく振舞っても好いのだ」と、
老若ともに満足して叫んでいるのだね.
(訳 森鴎外)



続く・・・
# by dirigent-yuichi | 2017-04-16 21:09 | ヨーロッパ
赤とんぼ
童謡「赤とんぼ」

話しことばのアクセントを大事に作曲された山田耕筰先生。
この童謡の中で「あかとんぼ」は、
「↑あかとんぼ」 
と頭高型のアクセントがつくイントネーションで歌われます。
これは関西の発音であったと聞き覚えがありました。

先日、この話が出たときにご一緒していた奈良のご出身であるヴァイオリニストの渡辺美和さんに
関西は、
「あか↑とんぼ」
と中高型のアクセントですよ。
と教えていただき、この情報に疑問を持ち早速調査開始。
関西も古くは頭高型だったらしいという情報を発見するも、曖昧で信頼性が低い。すると、團伊玖磨先生の著書にこの赤とんぼのイントネーションについて、山田耕筰先生とのお話が掲載されているとの情報を発見。
この著書「好きな歌・嫌いな歌」を古本で見つけました。

それによると、
「江戸時代より東京ではこの発音」
とのこと、腑に落ちました。

聞いた情報は自分で調査、検証して知識にしなければと反省。

ご指摘いただいた渡辺さんに心より感謝。
ありがとうございました!

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# by dirigent-yuichi | 2016-11-04 12:09 | 音楽
横浜音祭り
先日の横浜音祭り「身近に感じるオーケストラコンサート」にご来場いただいた皆様ありがとうございました。

本格的な活動を開始してから半年のしのはらジュニアオーケストラ、めきめきと成長をとげて、何よりも演奏者(こどもたち)が楽しい演奏となりました。
ジュニアオーケストラでヴァイオリンを担当している田中さん、今回はハイドンのピアノ協奏曲のソリストとしても頑張ってくれました。とても美しい音での演奏。オーケストラの仲間達にも大きな励みになったと思います。

そして、オーケストラ・ポールノールとして出演していただいた、横浜市在住の音楽家の皆様方の愛情あふれるスペシャルな演奏。

ソプラノの中尾喜香さんの澄み切った歌声に痺れました。
チェリストの久武さんによる今回の編成にあわせた編曲がまた秀逸!
皆様の笑顔から幸せを頂きました。

ご一緒させていただいた皆様、そしてお手伝い頂いた皆様、ご来場いただいた皆様に心より感謝いたします。
# by dirigent-yuichi | 2016-11-04 12:02 | 音楽
より語る
シルバーウィークにご一緒させていただいた長月シンフォニエッタのコンサート、今回で3回めの共演となりました。このオーケストラは祝祭オーケストラの要素が強く毎回出演されるメンバーが違うので一概には比較できませんが、今回は特に密度の高い演奏になったように思います。

今回一緒に取り組ませていただいた曲は、

アイヴズ:答えのない質問
モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

の3曲でした。

アイヴズの作品は、1973年にバーンスタインがハーバード大学で行った講義に取り上げられた作品で、この講義のDVDを15年くらいまえに入手して何度も見ていたので、私にとってはとても馴染みの深い作品。これを演奏できる機会をいただけるなんて思ってもみなかったので、とても嬉しかったです。貴重な機会をいただきありがとうございました。

弦楽器が表す「ドルイド僧の沈黙」を背景に、トランペットが「存在についての永遠の問いかけ」を行い4本の木管楽器がそれに対する応答をするという内容の作品です。木管楽器の返答が曖昧なものから、より複雑で感情的なものに変化していきます。まるで語りあっているかのように緻密に書かれた素晴らしい作品です。

そして、モーツァルト、ベートーヴェンの名曲へとプログラムは続きました。

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# by dirigent-yuichi | 2016-09-26 10:37 | 音楽
作品との出会い
先日、数年に一度お手伝いに呼んでいただいているアマチュアオーケストラさんにお邪魔ました。
今回のお手伝い演目の中に含まれていたイベールのフルート協奏曲。フルート奏者にとってはメジャーなレパートリーで、私も大好きな曲なのですが、意外と知名度は低いということに驚きました。ひょっとするとイベールという作曲家の作品が日本ではあまり知られていないということでしょうか。
確かに日本で行われるコンサートでは、取り上げられる作曲家に偏りがあるのは事実なので、コンサートで聴くことができる作曲家や作品の広がりの少なさも、客層を広げられない一つの要因になっているのかもしれません。
しかし、聴衆を集めるためには、お客の聴きたい欲求を満たすための演目も含まなければならないので、メジャーな演目のなかに、すこしづつ日本で知名度の低い作品を絡めていくことになります。
そのコンサートで聴衆が出会った曲を、お客様のもう一度聴きたい曲の一つに加えていただけるように、聴衆の皆様の心に残る演奏をすることが大切になのだと思います。
若い頃は良さがわからなかったものが、後に良さがわかるようになるのは、年齢を重ねることによって作品の中に良いところ、面白さを発見できる引き出しが増えたからだと思います。
多くの作曲家と作品に出会うことで、数多の作品の良さを発見するチャンネルも増えます。ぜひ、知っている曲には新しい発見を期待し、知らない曲があったら興味と好奇心をもってコンサート会場へ足を運んでいただきたい。
# by dirigent-yuichi | 2016-06-27 10:21 | 音楽